あずまんが大王が日常系ジャンルの先駆けってマジなん?
あずまんが大王が残した功績
 『あずまんが大王』は月間コミック電撃大王にて1999年〜2002年に連載された4コママンガ作品だ。 
 全4巻ながら325万部のセールスを記録。これは世界15ヵ国で翻訳された。 
 日本でいちばん売れた4コママンガと”いわれる”(計算方法によってはもちろん諸説あり)。 
今や発行部数が話題になるのはワンピースとか鬼滅の刃とか完全にマスを掴んだ作品だけなので、300万部程度だともう驚かないかもしれない。いやでもコレ相当やばい数字だ。
 「4巻しか出てない」「4コママンガ」という前提があるし、なにより「あずまんが大王は当時限られたオタク層向けの作品であり、マス向けでなかった」んだもの。 
 作者のあずまきよひこは「アングラで終わりたくない」的な理由で、その後メジャー向けの作品「よつばと!」に取り掛かる。それくらいあずまんがは限られた層向けの作品だったのだ。 
 売り上げ云々よりすごいのは「あずまんが大王をきっかけに、2000年代に空気系(日常系)マンガが大ブームになったこと」だ。 
 空気系というジャンルを構築し、深夜アニメという日本の代表的カルチャーを塗り替えた。 
 空気系とはむっちゃ簡単にいうと「普遍的な日常を舞台に、数人の女子が、極めて何にも起こらない日々を過ごすこと」をテーマにした作品。 
 定義は曖昧だけど「物語全体としてゴールがない」「中核的な男性キャラがいない」というのは大きな特徴。 
 例えば同じ女子数人のアニメとして「プリキュアシリーズ」がある。この場合は「巨悪を倒す」という大筋のストーリーがある点で空気系ではない。 
 空気系には大層な目的なんてない。ただなんとなく毎日生きてるやつを描いた作品だ。 
いやしかしこう「普遍的な日常を舞台に、数人の女子が、極めて何にも起こらない日々を過ごすこと」って、文面で書くとほんっとにおもしろくなさそうですよね。
でも当時のコアターゲットだった非モテ男子は「隣の女子高生ってどんなライフスタイル送ってたんだろう」って、かなり興味あったんだと思うし、あとシュールな作風になりやすいのも特徴だったはず。この点は後述します。
あずまんが大王のフォロワーたちの足跡
 とにかくあずまんが大王の衝撃はえぐかった。その後、次々にフォロワーが生まれ、あずまんが大王こそ越えられなかったが、すごいヒットを飛ばしまくった。 
 特に京都アニメーション全盛のころの作品なんてもう空気系のオンパレードよ。 
 http://maguro.2ch.sc/test/read.cgi/poverty/1636279348/0-
 『らき☆すた』『けいおん!!』はもちろん、『日常』に関してはあずまんが大王へのリスペクトが存分に感じられる作風、デザインとしてネット民が「同一人物か?」とざわついた。 
 そのほかにも「苺ましまろ」「ひだまりスケッチ」「GA 芸術家アートデザインクラス」「生徒会の一存」「たまゆら」「みなみけ」「のんのんびより」など、その作品数はもはや書き尽くすことが難しい。 
 2000年代の深夜アニメ(オタク文化黎明期)は、半分以上を空気系が占めていたのは間違いないだろう。 
		  	      
      