【闇深】最近の声優業界がヤバい…アニメブームの影で激しい生き残り戦が勃発
マグミクス 5.2
https://magmix.jp/post/89154
●新人声優は仕事減、ベテランに集中するワケ
「新型コロナウイルス感染症の拡大により、アフレコが集団収録から個別収録に移行した結果、声優ひとりひとりの拘束時間が短くなりました。その結果、従来であれば引っ張りだこで起用が難しかったベテラン声優にスケジュールの余裕ができ、彼らに依頼が集中するようになりました。逆に新人声優が日の目を見る機会が激減してしまったのです」
さらに新人を追い込むのが、声優の報酬を決める「ランク制度」(※)だといいます。
「若手の声優は、最低ランクの『ジュニア』からキャリアをスタートします。はじめ3年間はギャランティーが低いまま一定なのですが、そのぶん起用されやすくチャンスが増えるという仕組みになっています。しかし、新型コロナが沈静化せず満3年が経過してしまえば、3年前にデビューしたジュニア声優は経験が少ないままギャランティーが高くなってしまい、ろくに仕事を得られないままごっそり事務所を去ることになります。これが続けば、5年10年後にはある世代の人材が全くいないという大きなブランクを生むことになります」
※「ランク制度」とは、日本俳優連合(日俳連)、日本音声製作者連盟(音声連)、日本芸能マネージメント事業者協会(マネ協)の三者間の取り決めで、声優の最低賃金の保証やテレビ放送、映画上映などのギャランティーの料率を決めている制度。近年は、小さい声優事務所や音響制作会社が増え、「ランク制度」が便宜的な報酬条件として扱われるようになり、ジュニアランクのまま5年以上業界に身を置く声優も存在する。
また、仮に現場に立てたとしても、個別収録では他のキャストの演技を見聞きすることも掛け合いの演技をすることもできず、現場で演技を学ぶことができません。収録後の飲み会で新人が先輩声優やスタッフから教わることも多かったのですが、そんな機会も失われてしまった。新型コロナによって、声優はデビューだけでなく成長も難しくなってしまったのです。
さらに声優だけでなく、音響監督らスタッフにとっても新型コロナの影響は深刻です。
「個別収録になることで声優の拘束時間は少なくなりましたが、僕らは全員の収録が終わるまで帰れません。スタッフの拘束時間は逆に増えています。そのため自分から新人声優を探す時間も無くなってしまいました。また、スタジオ内での接触人数を減らすため、声優のマネージャーは収録現場への立ち入りが認められなくなっています。マネージャーからいい若手を紹介してもらうことも多かったのですが……」
同じようなことは他の業界や多くの企業でも起きていますが、声優業界も例にもれず、特に新人にとって過酷な状況になっているといえるでしょう。
昨今、邦画界では有名監督がキャスティングと引き換えに肉体関係を要求していたという告発が相次いでいます。今、声優業界において仕事を得ることも技術を磨くことも難しいとなると、同じようなことが起こり得るのでしょうか。
「仮にそんな経緯で技術のない人を一度キャスティングしてしまうと、関係が切りづらくなってしまい、その人を複数の作品で何度も使わざるを得なくなってしまいます。そんなことをしてしまっては監督・プロデューサーとしての能力を疑われてしまいますから、僕なら怖くてできません。またそもそもですが、現在製作委員会方式で作られているアニメの配役は音響監督だけでなく、監督や各委員会企業のプロデューサーなどの総意で決められています。誰かひとりの意向で人をねじ込めるようなシステムにはなっていないのです」
極端な権力の集中がないからこそ声優業界では邦画の世界と同じことは起こりにくい、というのが実態のようです。では、どんな声優であれば現場に立つチャンスを与えられ、業界で生き残れるのでしょうか。
「声優という仕事に向いていて、かつ運がよかった人しか残れない厳しい世界であることは前提ですが……まず、自分の確固たる意志を持ち、演技プランをふくめた『提案ができる』人。そのうえで『人に好かれる』という、相反する要素を兼ね備えた人だと思います」
※全文はリンク先で